十八代目中村勘三郎 襲名披露
南座の顔見世興行で、今回は 十八代目中村勘三郎の 襲名記念講演となっています。
じつは、私は 5時間前後もの間、じっと座って舞台を観るのが苦手ですのと、これまで観ました演目が 暗い内容のものが多く、特に 一昨年は、丁度 イラクで人質の方達が 次々と殺されています時期、長刀を振り回して 生首がゴロゴロ・・・ というものでしたので、途中で とても気分が悪くなり、「もう2度と、歌舞伎には行かへん!」と、途中で帰ってしまいました。
けれども、今回 母の都合で チケットが回ってきましたものの、気がすすまへんなぁ~と思っていましたところ、友人からの電話で 「どうしても 勘三郎の口上が聞きたいんやけど、もうチケットが完売で、手に入らへんねん。」とのことでした。
「え! 丁度、明日のチケットが2枚あるんやけど ・・・。」と、成り行きで 一緒に出かけることになりました。
南座の前で 友人を待っていますと、花簪にぽっくり姿の可愛らしい舞妓さんや、一目で花街の人とわかる雰囲気の 素敵なお姐さんがたが 次々と建物に入って行かはります。その美しい装いに 見とれてしまいました。
もちろん、一般の方々も 和装が多く、皆それぞれにおめかしをなさって、とてもいい感じ。
こういうのは、歌舞伎見物のいいとこやなぁ~ と、ちょっと気分が のってきました。
今回の第一幕は、「俊寛」。 近松ものですので、やはり後味が悪く、ちょっと寝ようかな ・・・と ・・・。
ところが、第二幕目の 「口上」は、それぞれの役者さん達の個性が出ていまして とても面白く、また 第三幕目の 「京鹿子娘道成寺」は、勘三郎が清姫に扮し、長時間の独演がありました。
ストーリーは、安珍亡き後の後日談で、むしろ 僧侶の人達のユーモラスな掛け合いなど 笑いを誘う場面も多く、全体に 明るい雰囲気。
そして、楽しめましたのは 勘三郎の 早変わり。 私は不勉強で 勘三郎が女形を演じられることがあるのは 初めて知りましたが、普段は結構 がっしりした男っぽい容貌のように思いますのに、とても可愛らしく 品の良い仕草の清姫で、長丁場にも関わらず 観客を飽きさせません。 やはり、実力あっての人気なんやなぁ、と感心しました。
衣装は、最初は 黒地の桜柄の振り袖。帯も 桜の金襴。お引きずりの翻った生地も 白地の桜散らし。そして、ちらりと覗く 長襦袢も 真紅に桜の刺繍。花簪も桜の、桜尽くし。
着物は、場面が変わるごとに 次々と 緋色、薄緑、ビンク、藤色、白地と変わっていきます。そして、だんだん蛇の精が表面化してきますと、白地に薄墨と銀のみで桜を描いた着物となり、怪しい雰囲気に。
この後とうとう 蛇精が本性を現し、赤い髪を振り乱した 鬼のような姿になります。
それでも、舞台の色遣いや演出で、おどろおどろしい雰囲気ではなく、むしろ 明るいエンターテイメントという幕切れで、とても楽しめました。
さらに 第四幕目は、ハッピーエンドのコメディータッチ、「雁のたより」。 そして、第五幕目の「乗合船恵方萬歳」は、江戸のお正月の 渡し船を 七福神の船に重ね合わせた 明るく晴れやかな演目です。今年のNHK大河ドラマで 石田三成を演じ、シリアスなイメージの強い 中村橋之助が、三河万歳の才造を 楽しそうに演じてはりまして 観ています方も 楽しい気分になりました。
最後の幕が引かれ、友人と 「来て良かったね。」と 時計を見ましたら、9時半です!
長時間舞台を観るのが苦手な私が、4時から9時半まで 5時間半もの間、ほとんど席を立つことなく、また時間が短く感じられました。
役者さんの個性もあるのでしょうが、こんな舞台なら また是非観てみたいと思いつつ、帰宅しました。
「祇園 恵美」さん(御茶屋さん?)が、幕間に届けてくださいましたお弁当は、ずいぶん大きなサイズの折り箱で、「え~っ、こんなにたくさん、食べられへんわぁ~。」と言いつつ、とても上品な薄味で 素材も良く、友人と 「美味しいね」と 何度も言いながら、ぺろりと全部いただいてしまいました(*^_^*)。
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